転職者は前職場と比較する

企業が正社員を採用するには、2つの方法がある。
1つは、定期採用者といわれる学生から社会人となる新入社員の採用だ。4年生の大学生を採用するには、採用担当者は1年がかりで学生にアプローチをし、何度も面接を繰り返して内定を出し、翌年の採用となる。
それに対し、中途採用というものがある。これは、既存の社員が退職したために、その補足に急きょ募集を行うといったものだ。この二つの採用には、入社後に明らかに違いがある。定期採用組は、勤めた会社が初体験となる。上司から言われることや社長の言葉は、絶対的な命令で受け止め、迷うことなく行動を起こす。ところが、中途採用者の場合はこうはいかない。履歴書の職歴欄に前職場が記載されており、転職者となるのだ。
この違いは、大きく入社後の対応に気を使わなければいけない。何故かといえば、すでに職場の経験があるので比較を行ってしまうからだ。会社というものは、自ずと社風といわれるものが存在している。目に見えるわけではないが、毎朝の朝礼の仕方や話す内容にも各社ごとに歴史があり工夫されて実施されている。それも同じ業界ともなれば、前職場と比較してしまうのは仕方がないことだ。
例えば、朝礼時の立ち方の姿勢ひとつを取っても違いがあり、転職者は疑問を持ってしまうこともあるようだ。これが金銭が絡む問題ともなれば、より深刻になるだろう。残業代は、前職場ではタイムカードで自動的に精算されていたことが、いちいち上司に申請書が必要となれば不満が積もり、折角採用したのに退職になることにもなりかねない。